ピエール・ドゥ・ロンサール
Pierre de Ronsard
丹精込めた薔薇が次々に咲き始めました。
それぞれの花が、今、満開です…
このピエール・ドゥ・ロンサールは、ルネッサンス期のフランスの詩人の名前にちなんでいます。
微香性でロゼット咲き。フランス産。
クリーム色から、内側に向かうほどピンクが濃くなっていますが、このグラデーションが溜息が出るほど美しい…。
花弁の数も多く、優雅な大輪の花をぎっしりと咲かせます。
ダマスク系の微香性なのですが、これで香りも強かったら無敵でしょう~。
花言葉は、「美しい少女・淑やか・温かい心・一時の感銘・愛を待つ・恋の誓い・幸福・感謝」。気恥ずかしいぐらい、そのまんま…♬
近景に薔薇遠景にニヒリスト 喜田礼以子
プラットホーム
ホームに立つていた
昨日ずつと一緒だつた
表情
眼差し
声
匂い
感触…
噛みしめて
物想いにふける
柱の影に立ち
キャリーケースを横に置いたら
向かいのホームに見るともなしに視線をやる
カップルがベンチに並び
楽しそうに笑い合つている…
…メロディが鳴つた
もうじき新幹線が来る
荷物を持ち直して顔を上げた
新幹線がホームに滑り込んできた
溢れ出す乗客の波
波が引けた後
ゆつくりと乗り込んだ
荷物を収め
指定席に座る
その時
一人の男が
階段を駆け上がつてくるのが見えた
肩で息をしている男と
目が合つた
思わず席から立ち上がつて
凝視する
その瞬間
新幹線は動き出した
二人の距離…どんどん離れていく
やがて見えなくなつた
状況から見て
時間が作れる筈もないことは
わかつていた
男はこの一瞬の為に…
相当な無理をしたのだ
生温かいものが頬を伝う
やがて入つたトンネルの轟音に
嗚咽がかき消されてゆくのが
彼女にはありがたかつた